外壁塗装について
塗装の「3回塗り」とは?各工程の役割を徹底解説!
外壁や屋根の塗装で「3回塗り仕上げ」と聞いたことはありませんか?
見積書にもよく記載されていますが、実際に「なぜ3回なのか?」を正しく理解している方は少ないものです。
「3回塗り」はただの慣習ではなく、塗料の性能を最大限に発揮し、建物を長持ちさせるために欠かせない工程です。
この記事では、3回塗りの目的や各工程の役割、そして手抜き工事を見抜くポイントまで、わかりやすく解説します。
🧱 1. 「3回塗り」とは?
外壁塗装では塗料を一度で仕上げるのではなく
「下塗り」→「中塗り」→「上塗り」 の3層で構成するのが基本です。
①下塗り
下地と塗料の密着を高める。
②中塗り
膜厚の厚みを確保し、防水・耐久性を向上させる
③上塗り
美観と耐候性を高める最終仕上げ
この3層がそれぞれの役割を果たすことで、
「剥がれにくく、色あせにくい塗膜」が完成します。
🎨 2. 下塗り(密着と下地補強)
「下塗り」は、塗装の土台を作る工程です。
外壁材(サイディングやモルタルなど)は、紫外線や経年劣化によって表面が弱っています。
このまま上塗りをしても、密着せずにすぐ剥がれてしまいます。
下塗りは、「下地と上塗りの“接着剤”」として機能します。
下塗りの目的
①塗料の密着を高める
下塗りの最大の目的は、外壁(下地)と上塗り塗料をしっかりとくっつけることです。
長年の紫外線や雨風によって、外壁表面は粉状に劣化しています(チョーキング現象)。
そのまま上塗りをしても、塗料が定着せず、数年で剥がれや浮きが発生します。
下塗りは、その劣化面に「接着剤」のように作用し、塗膜の定着を助けます。
②吸い込みを防ぐ
劣化した外壁やモルタルは、表面がザラザラしていて塗料を吸い込みやすい状態です。
このまま上塗りをすると、部分的に塗料を吸い込んでしまい、ムラや色の違いが出ます。
下塗りをしっかり行うことで、外壁表面を均一に整え、吸い込みを防ぎながら次の塗り工程を安定させます。
③下地の補修・保護
下塗りは、単なる「接着層」ではなく、下地の表面を補修・保護する役割もあります。
微細なひび割れや凹凸を埋め、上塗りがより滑らかに仕上がるように整えるのです。
また、下塗り層そのものが外部からの湿気や雨水をブロックするため、外壁内部への浸水を防ぐ“バリア層”にもなります。
🧩 3. 中塗り(塗膜の厚みと強度)
中塗りとは、外壁や屋根塗装の「3回塗り」工程の2番目にあたる作業です。
下塗りの上に主材(メイン塗料)を塗り重ねて、塗膜の厚みと強度を確保する工程を指します。
「中塗り」と「上塗り」は同じ塗料を使うことが多いですが、2回に分けて塗ることで、塗料の性能を最大限に発揮できるようになります。
つまり中塗りは、見えないけれど塗装の寿命を左右する“基礎の柱”のような存在です。
中塗りの目的
①塗料の厚みを確保する
外壁塗料の性能(防水・耐候・防汚など)は、
メーカーが指定する「塗膜の厚み(膜厚)」を満たすことで初めて発揮されます。
1回塗りでは必要な膜厚を作れないため、
中塗りでしっかり塗り重ねることで、設計通りの厚みを形成します。
②防水性・耐候性を高める
中塗りは、防水膜を形成する中心層です。
雨・風・紫外線など、外的要因から下地を守る“バリア層”をつくります。
・雨水が塗膜に浸透するのを防ぐ
・紫外線の影響を分散し、上塗りの劣化を防ぐ
・下塗りと上塗りを密着させ、塗膜を一体化させる
③色ムラを防ぐ
下塗りの段階では白や透明の塗料を使用するため、そのまま上塗りをしても色ムラが出やすくなります。
中塗りでは、上塗りと同系色の塗料を使用して「下地色を隠す」ことで、
上塗りの発色が美しく均一になります。
・下塗りの白さを隠してムラを減らす
・上塗りの色ツヤを整える
・均一な塗面に整える
④上塗りとの密着性を高める
中塗りは、下塗りと上塗りを“接着する中間層”でもあります。
塗膜同士がしっかり結合することで、
外壁全体が一枚の強い膜のようになり、剥がれにくくなります。
・下地との相性を安定化
・上塗りの密着を助ける
・塗膜の層を滑らかに整える
この層がしっかりしていないと、
上塗りがどんなに優れた塗料でも下から剥がれてしまう恐れがあります。
塗料メーカーが指定する「1㎡あたりの塗布量」や「乾燥時間」を守ることが重要です。
また中塗りを省略して2回塗りで終わらせる業者にも注意が必要です。
仕上がりは一見きれいでも、3年ほどで劣化が始まります。
🌟 4. 上塗り(美観と保護の仕上げ)
上塗りは、外壁の「顔」を作る工程です。
ツヤ・色味・質感を整えると同時に、紫外線や雨水、汚れから建物を守る最終保護層となります。
上塗りの目的
①美観の仕上げ
上塗りは、外壁や屋根の色味・ツヤ・質感を決定します。
同じ塗料でも上塗りの仕上げ方で印象は大きく変わります。
職人の塗りムラがないよう、均一に仕上げる技術が求められます。
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色の発色を整える
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ツヤの有無を調整(ツヤあり・3分ツヤ・ツヤなしなど)
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表面の凹凸や刷毛ムラをなくし、均一にする
「ツヤあり」は明るく清潔感が出やすく、
「ツヤなし」は落ち着いた印象に仕上がります。
②防水性の確保
上塗りは、外壁の表面に防水膜を形成します。
この層がしっかりしていれば、雨水や湿気の侵入を防ぎ、
外壁材そのものの劣化を防ぐことができます。
特に日本のように雨が多い気候では、
上塗りの防水性能が建物の寿命に直結します。
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雨水・湿気の侵入を防ぐ
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外壁材の吸水を抑える
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ひび割れや剥がれを予防する
塗膜が薄いと水が染み込み、数年でチョーキング(白い粉)やひび割れが起こります。
③耐候性の強化
外壁の大敵は、太陽光(紫外線)と風雨です。
上塗りはこれらから塗膜を守る防護バリアの役割を果たします。
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紫外線による退色・劣化を防ぐ
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酸性雨や排気ガスの影響を軽減
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塗料のツヤ・色持ちを長期間維持
上塗り材の質によって、10年で色あせるものもあれば、
20年以上美しさを保つものもあります。
⚙️ 5. 3回塗りで得られる効果
3回塗りを正しく行うことで、建物の性能が大きく向上します。
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防水性UP:塗膜が雨水を弾き、外壁の吸水を防止
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耐候性UP:紫外線・風・雨に強くなる
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防汚性UP:汚れ・藻・カビが付きにくくなる
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美観維持:ツヤと色味が長持ちする
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下地保護:建物内部の劣化を防ぐ
💬 つまり3回塗りは「美しく仕上げるため」だけでなく、“建物を守る塗膜構造”そのものなのです。
🚫 6. 手抜き工事を防ぐチェックポイント
「3回塗り」と言いながら、実際は2回しか塗らない…という悪質業者も存在します。
そんな手抜きを防ぐには、次の点を確認しましょう。
チェックリスト
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下塗り・中塗り・上塗りの使用塗料名が明記されているか
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施工写真を工事ごとに撮影・報告してくれるか
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塗料メーカーの仕様書通りの乾燥時間を守っているか
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見積書に「3回塗り」と明記されているか
💡 信頼できる業者の特徴
・メーカー仕様に基づく正しい工程管理
・天候や気温を考慮したスケジュール調整
・作業中も進捗を逐一報告してくれる
🏁 7. まとめ
「3回塗り」は、塗装品質の基本であり信頼の証。
下塗り・中塗り・上塗りがそれぞれ独立した意味を持つ重要工程です。
各工程を丁寧に守ることが、10年、20年後の家の美しさを左右します。